日本語を話せるわたしたちが、日本語を話せるというだけで外国人に日本語を教えることができないように、英語話者も英語を話せるだけでは講師になれません。フリートークを楽しむだけのスクールでは導入しているところは少ないようですが、ある程度のレベルを教えるスクールでは講師に一定の資格や研修を求めるところが多いようです。資格は大学で英語教育を専攻していることや、学校の英語教師資格など、スクールによって異なりますが、研修でよく見られるのは「ESL指導」というものです。
ESL指導とは
ESL とは「English as a Second Language」の略で、英語を母国語としていない人のための英語教育、または英語を第二外国語として話す人、という意味です。ESL指導は、TESL(Teaching English as a Second Language)とも呼ばれます。
英語圏では外国からの移民や来住者が多いのですが、しかし英語が話せないために生活に馴染めず問題を起こすという事件や事故もよく起こっています。そこで移住者に対する政策として、英語を母国語としていない人たちのために英語教育を行うようになりました。アメリカなどでは小・中学校や高校にESLクラスが併設されていて、移住者の子どもたちに英語を教えています。大学では留学生のためのESLクラスが積極的に設置されているので、外国からの優秀な学生が英語を学ぶことができます。また移住者には市民講座などが開かれています。こういったESL授業は生活するために必要な、重要な英語を教えるクラスで、指導方法がある程度決められています。
たとえば、講師はネイティブ並みの美しい発音が求められ、生徒に手本を示して復唱させます。また会話の内容は生活に根差し、いろいろな場面で使われる英語である必要があります。一方的に話すだけではなく、他人との会話、コミュニケーション力も重視されています。
これがESL指導の基本の考え方です。最近ではTESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages)として英語教師の資格にもなっています。
オンライン英会話のESL指導という場合は、英語圏で指導方法を学んだというわけではないようですが、自社またはフリーのトレーナーに依頼してESL指導の基本を研修しているようです。
日本人の性質・文化を理解する
英語に関してばかりでなく、いくつかのスクールでは日本人の性質・文化について研修を行っています。日本人はシャイで口数が少なく、講師から積極的に話しかける必要があるなど、日本人特有の指導方法です。文化についても独特なものが多いので、受講者が英語で上手く説明できても文化が分からないから理解できない、という事態を避けるために研修を行っているようです。また礼節に厳しい日本人とのレッスンですので、マナー講習などを行っているところもあります。
研修を受けていれば良い先生というわけではありませんが、研修を受けていることは講師を選ぶ一つの基準になりますね。