よく「アメリカでは子どもでも英語が話せる」と言われます。たしかに、アメリカではどんな小さな子どもでも英語を話しています。お母さんや家族の言葉を何度も聞いて、何度も口に出して繰り返すことで英語を覚えていきます。24時間英語に触れているのだから英語が話せて当たり前。とは言いますが、そういえば、アメリカ人にとって英語は「国語」。学校で英語は勉強しないのでしょうか。
アメリカ人の「国語」の学習
アメリカ人の知人に聞いてみたところ、「国語の時間には、本を読んだり、内容についてディスカッションしたり、レポートを書いたりするよ」とのこと。なるほど。日本と同じように本は読むけど、そこからディスカッションしたりディベートしたりすることで自分で考えて自分の言葉で話す習慣がつくようです。たしかに、海外で授業を受けると、日本のように大人しく先生のことを聞いているだけ、という授業は少なくなります。大学でも分からなければ手を上げて聞くし、先生にも分からないようなことならば皆で話し合いながら答えを探したりもします。受動的でない学習法で知識が身につくようです。
英単語の書き取りが重要
では日本の漢字の書き取りのような、たとえば英単語の書き取りはしないのでしょうか。尋ねてみると、「子どものころはする」とのこと。難しい単語は調べて意味を書き、覚えられるまでノートに書き取りをするのだそうです。「大学受験前に英単語帳を作る人もいる」のだとか。ああ、やっぱり、アメリカ人でも難しい単語は書かないと覚えられないんですね。
ちなみにその場にドイツ人とロシア人もいたので、母国語の勉強について同じ質問をしてみたところ、ほぼアメリカ人と同じ答えが返ってきました。彼らは英語が話せるので、英語はどうやって勉強したのかと聞いてみたら、これも同じく「本を読んで、知らない単語は調べて、単語帳を作って何度も見て覚えたよ」と言われました。逆に、日本人はどうやって覚えるのかと言われたので、同じようにして覚えたというと、ああ、日本人でもそうなんだ、と納得されました。
つまり、アメリカ人といえども、単語学習は避けて通れないということです。他言語の英語学習者との違いは、24時間英語を話さざるを得ない状況にあるということ、24時間いつでも覚えた単語を使ってみることができる環境があること、でしょうか。
よく考えてみれば、アメリカ人の子どもはお母さんの言葉を聞いて(リスニング)、繰り返して(シャドウイング)、話して(スピーキング)いるので、英会話のトレーニングをしているようなものですよね。日本人が英語を話せるようになるにも、地道に単語や例文を覚え、オンライン英会話などで実践してみるという他にはなさそうです。