英語圏の子どもたちは母親や近しい人々、テレビやおもちゃなど耳にする英語を口に出して繰り返すことで英語を覚えていきます。シャドーイングは同時通訳者を目指すために開発されたトレーニング方法ですが、簡単に言えばこれと似たようなものです。
同時通訳者はナチュラルスピードの英語を聞いて、即座に意味を把握し、通訳言語に置きかえるという訓練を行いますが、英語を話すだけでよければ通訳言語に置きかえる必要はありませんので、頭から聞いて、順番に母国語に置きかえることができれば十分です。日本語のシャドーイングをやってみると分かりますが、母国語でも聞き取った文章を記憶して数秒後に繰り返すというのはかなり難しいものです。英語ならできなくて当たり前、ぐらいの気持ちで臨んでください。
子どもと同じような気持ちで、まずはゆっくりとした教材で進めていくと、リスニングや語彙、スピーキングの強化に役立ちます。文字を見ているだけでは話せるようにならない、というのはもう経験済みですよね。いまは無料のPodcastでもいい教材があるので、初心者に役立つシャドーイングをご紹介します。
ゆっくりと話してスクリプトがある教材を選ぶ
シャドーイングでもっとも重要なのは教材選びです。
ドラマや映画を見てシャドーイングの練習をしよう、と勧める人がいますが、それはもうすでにある程度話せる人がもっと上手くなるための練習なので初心者には向きません。初心者は映画の音声を正確に聞き取ることも困難でしょう。映画は教科書のような英語を話しませんし、スラングも多用されているので、字幕があったとしてもかなり難しいのです。
初心者に向いているのは、字幕またはスクリプトがあって、その文章のほとんどの意味が分かるレベルの教材です。初めてシャドーイングをするならば、中学校1年生程度の英語がちょうどいいぐらいです。簡単すぎるように思いますが、いざ始めてみるとかなり難しいことに気づきます。
シャドーイングの方法
・なにも見ずに音声を聞く(リスニング)
まずはざっと音声を聞きます。1~2分程度のもので始めてみましょう。おおまかな意味をつかむようにします。ここで聞き取れていなくても、あとで確認できるので大丈夫です。
・スクリプトを見ながら音声を聞き、繰り返す(オーバーラッピング)
字幕やスクリプトを見ながら音声を聞き、聞いた言葉を繰り返しましょう。これをオーバーラッピングとも呼びます。字幕を追って言葉をかぶせるイメージですね。気をつけるのはイントネーションやリズムです。できるだけ音声に似せて発音しましょう。オーバーラッピングは1~3回程度行います。
・音声だけを聞いて、繰り返す(シャドーイング)
オーバーラッピングでちゃんと発音できるようになったら、シャドーイングを行います。文字で見て覚えたスクリプトと耳で聞く音で、ある程度シャドーイングができるようになっていきます。できれば数日おいて、もう一度同じ教材を今度はシャドーイングから始めてみるのもいいでしょう。数日後にはかなり忘れてしまっていることに気づきます。
オススメの教材
市販されている書籍もありますが、Podcastでも利用できる簡単なものに「English as a Second Language Podcast」があります。発音もかなりゆっくりですし、スクリプトもついています。音声教材の中には今日のダイアログの解説も入っているので、内容もかなり充実しています。スマホなどに入れて試してみてくださいね。