初心者編でお話ししたように、まずは「こんな風に英語を話せるようになりたい」「英語が分かるようになりたい」という将来のイメージを持つことが大切です。イメージを持ったら、もう少し具体的に掘り下げてみましょう。たとえば「海外を一人で旅行できるようになりたい」「海外スポーツの中継を英語で見たい」「仕事場に来る外国人のお客様とスムーズに会話ができるようになりたい」というように、やってみたいことを絞ります。具体的な目標を持つことで、自分がいまなにをしなければならないかが分かるようになります。その上で、どういった勉強法が自分に向いているかを考えましょう。
きっちり勉強するべきか否か
海外旅行や海外スポーツの中継などは、それほど文法にこだわりません。正しい文法よりも語彙が豊富な方が話が通じます。スポーツは使う単語が競技によって異なりますし、独特なものも多いので、そのスポーツに応じた単語を覚える必要があります。
一方、仕事で英語を使えるようになりたいと考えているのであれば、文法の勉強は欠かせません。丁寧な言い回しは少しのほころびで雑な表現になってしまうので、きっちりと文法に沿って覚える必要があります。
それぞれ目的に応じて単語を覚えたり、表現を覚えたりすることが近道です。ただし文法を学んでおけば、将来的に広がりが出てきます。
文法は英語の幹になる
文法と単語は、木の幹と葉に例えられます。単語をたくさん知っていれば木を覆えるので、まるで大きな木であるかのように見えます。海外旅行や海外スポーツ観戦であればそれで十分です。しかし、葉が全部落ちてしまうとどうでしょうか。たとえばサッカーに関する単語はたくさん覚えてスポーツ観戦も問題ないという人が、映画を字幕なしで見られるようになるかというと難しいでしょう。単語は、幹になる「英語力」を覆っているにすぎません。
一方、幹にあたる文法をしっかり学んでいると、ジャンルが違う分野でも推測ができるようになります。「I like ○○.」と言ったときに、これがSVOの第三文型だと分かっていれば、○○に入るのは名詞または名詞句だと分かります。文法がまるで分かっていないと、○○に入る単語が名詞なのか動詞なのかも分からず、推測することができません。これは簡単な例ですが、文法が難しくなればなるほど、推測の重要性が上がります。
簡単なものでかまわないので、中学校レベルの文法を復習しておきましょう。参考書はどんなものでもかまいません。ただし、必ず最初から最後までやり終えてください。いろんな参考書に手を出して、最初の部分だけしかやっていない状態が一番よくありません。文法の最初でつまずいてしまう人の大半は、たくさんの教材を持っているのに、やり終えたものが一冊もないという人です。一冊やり終えてみると、英語文法の全体が分かるので、最初につまずいた理由も見えてきます。できれば三周ぐらい読み直せるといいでしょう。
面倒に思えますが、ここで英語力の幹となる文法をしっかり押さえておくと後々の学習が楽になりますし、楽になればあなたの英語習得も早くなります。