英会話を習っていて少し面倒だなぁと思うのは最初の挨拶です。
ほとんどのスクールは担任制ではなく、そのときどきで講師が変わります。講師が変われば、毎回最初に挨拶をすることになります。挨拶が練習になる初心者のころはいいのですが、レッスンが進むにつれ、毎度同じことを言うことに少し飽きてきてしまいます。「今週は何かありましたか?(What are you up to?)」と聞かれたところで、会社勤めでは話すほどのこともありません。また新しい人に会うことが苦手な人は、レッスンのたびに人が変わることでストレスにもなります。
ならば、毎回同じ講師を指名すればいいのか、というとそういうわけでもないようです。
リスニングのクセがついてしまう
たとえば同じイギリス人講師にずっと習ったとしましょう。イギリス英語では「R」の発音が弱く、ほとんど発音しません。単語の最後の「R」などはまったく発音しないぐらいなので、「Car」は「カー」、「Water」も「ウォーター」というように、日本のカタカナ発音に近くなります。日本人にとっては分かりやすくていいのですが、分かることでクセがついてしまいます。発音の仕方が違うアメリカに行って現地の人と話してみたら、簡単な単語すら聞き取れずに驚くことになります。
不思議なもので、ほとんど発音していない「R」を英語ネイティブ同士は聞き分けることができます。前にある母音や子音のわずかな変化や、口の形、単語の予測などで聞き分けるようですが、耳ができていないわたしたち日本人には難しくほぼ聞き取れません。
日本人がリスニングを鍛えるには、ほとんど聞き取れない「R」の音を探すよりも、イギリス英語に限らす、アメリカ、カナダやフィリピン、インドなど様々な国の講師と話をすることで特徴を探す方が近道になるようです。
文化が違えば英語も異なる
またイギリス人講師はお国柄、ウィットに富んだ表現を好みます。とても天気が悪いのに「Oh, man! What a lovely day!(ああ、今日はなんていい日なんだ!)」と言い出したりしますが、ここで「え? 雨が降っているけど……」なんて真面目な返答はしません。「Exactory! I love a rainy day, too! (ほんとにね!わたしも雨の日はとっても好きよ)」と、やや皮肉にも聞こえるような調子で返答する、というようなやり取りが好まれます。一方、アメリカ人はストレートに物を言うことを好みます。イギリス式のやり取りばかりしていると、「ずいぶん皮肉っぽい話し方をする人だなぁ」と思われることもあります。
同じ英語話者といえども同じ文化圏の人ではないので使われる表現が異なるのです。一人の人に習うということは、最初の挨拶が重複しないなどメリットもありますが、こういったデメリットもあるので注意しましょう。