英語話者人口が世界第3位の英語国フィリピンですが、国語はタガログ語から発展したフィリピノ(フィリピン語)という言葉です。英語は公用語として使われています。6歳で小学校に入学し、1年生から英語の授業がスタートします。これだけ聞くと、日本とあまり変わらないように思えます。ではなぜフィリピン人は英語が話せるようになり、どうやってオンライン英会話の英会話講師を勤めるまでになるのでしょうか。
英語を話すようになった歴史的経緯
まずは歴史的な経緯として、長くアメリカの占領下にあったことがあげられます。50年近いアメリカ統治下時代にアメリカがインフラを整え、道路や道路標識を作ったため、これらは英語で表記されることになりました。店舗看板など、アメリカ人の生活に関わる部分についても英語で表記され、それは現在まで続いています。
またフィリピンにはたくさんの部族・語族が住んでいて、1987年にフィリピン語が公用語であるとフィリピン憲法で定められるまで、共通の言語はありませんでした。ほとんどはタガログ語に近い言葉で方言のようなものですが、なかにはまったく別の体系の言葉もあり、同じ国でも言葉が通じないということがあったようです。そこで各語族間で意思疎通を図る言葉として英語が使われていました。
フィリピンの英語の授業
そのような歴史的経緯もあり、フィリピンではアメリカ統治下時代から近年まで、国語と社会以外の授業は英語で行われていました。この制度は2009年まで続いていたのですが、英語が話せないために授業についていけなくなる子どもが続出したため、現在では小学校3年生から段階的に授業を英語で行うようにしているそうです。私立学校の中にはいまも英語以外の授業も英語で行う学校もあるのだとか。
フィリピンの英語の授業は小学校1年生から始まり、週5日、毎日1時間以上行われています。小学校1年生で読み書きは日本人の中学3年生ぐらい、会話にいたっては高校生以上のレベル。義務教育である小学校卒業時には英語圏で暮らせる程度の英会話力が身につくようにするのが国方針なのだそうです。フィリピン国内で仕事をするにも、他の国で仕事を探すにも英語は必須。日本よりも英語教育の重要度が高いのです。
娯楽を楽しむために
フィリピンの映画やテレビ、新聞もすべて英語で配信されています。つまり映画やテレビを楽しみたければ、英語が理解できないといけないのです。日本好きの外国人で、「アニメが好きで、たくさんアニメが見たいから日本語を勉強した」という人と似ているでしょうか。好きなものがあれば、そのためにがんばれるというものです。
フィリピン人は日本人よりも多くの時間をかけて勉強し、英語にたくさん触れることで英語が話せるようになりました。「仕事につきたい」「映画を見たい」など、英語を話せるようになりたい理由も身近ではっきりとしているので、モチベーションを高く保つことができます。同じアジア人として、参考になる勉強法ですね。